興味が無かったはずだったのに気が付いたら刺されていた
我ながらかなり物騒なタイトルだけれど、お暇であるならばちょっとだけ聞いて欲しい。
ちなみに要約すると「コロナの影響で自宅できちんと自粛していたらYouTubeにあがっていたV6様の動画に後ろから刺されて沼に落ちてしまった」という話である。
そもそもの話をすると、私はアイドルというものに興味がなかった。
ジャニーズもAKBもハロプロも曲は知ってるけど、本人達は別に……。というぐらいの興味の無さだ。一応バラエティーも時々見たりするので、何人か顔は一致してるけどメンバーの名前を全員言えと言われたら困るぐらいの無知さである。*1
そんなヤツが何故V6に落ちてしまったのか。これが簡単な話で、友人のせいなのである。
私と違い、友人はV6のファンである。ファンクラブにも入っているし、CDも発売したら買っているし、V6が載っている雑誌は買うし、何か番組に出るとなったら録画をする。そんな普通のファンだ。彼女は無理な布教はしない。「V6はそのうち癌に効くようになる気がする」と少々頭のぶっ飛んだ事を言うが、私に無理にこの番組を見ろだのなんだのは言わなかった。そもそも私が興味がない事を知っていたからである。
しかし、その日はちょっとだけ違った。
コロナの影響で仕事が減り、あまりにも暇すぎてゲームをするしかなかったあの日。唐突に友人が「家に行っていいか？」と聞いてきた。もちろん普段なら快く了承するところだが、今回ばかりは話が別である。感染予防のために一度断った私に、友人は赤裸々に言う。
「君の家のデッカイテレビでYouTubeが見たい。手洗いうがいもきちんとするし、なんなら除菌シートも持って行くから」
なるほど。完全にオタクの言う事である。親の了承も得て、一時間後に約束をした私は知らなかった。この後盛大に後ろから刺されてしまう事を……。
しっかりマスクをし、除菌シートと果てはうがい薬を持参して家に来た友人は、親に手土産を渡していそいそとテレビの前に陣取った。そしてavexが次々とあげている動画を再生し始めたのである。
私はその時友人の後ろで椅子の上で体育座りをしながらFG〇の周回に勤しんでいた。楽しそうにはしゃぐ友人の声。嫌でも耳に入る黄色い悲鳴。そういえばYouTubeにV6のライブが配信されるってTwitterで見たな。そう思いながら顔を上げた瞬間、我が家の無駄に大きなテレビにやたらと美しい目元が映っていた。*2
は？？？？？？？？？？？？なにこれカッコよ？？？？？？？？？？？？
思わずポカンと口を開けたまま友人の後ろで一緒になって動画を見てしまう私。ちなみに私はアイドルどころかミュージシャンのライブすら見た事ない。生まれて初めてCM以外で見るライブ映像がV6だった。
気が付けば椅子から立ち上がり、スマホの電源を切り、友人の隣りでしっかりと見ていた。あまり記憶が無いが、友人曰く下記のような事を呟いていたらしい。*3
「待って。待って……怖い。怖い……」「いやぁ！顔がいい！何これ⁉この人！この人*4作画CLAMPじゃん！」「岡田くん絶対アーツ宝具……。だって顔がいいもん……蘭陵王じゃん……」「井ノ原くん？この人井ノ原くん？は？リア恋したらどう責任取ってくれるの？は？」「はあ！？森田剛ってこんなにカッコイイんですかぁ⁉えっ、っていうか声、声……これ、森田剛の声？砂糖じゃん……」「三宅健って何歳なの？は？もう四十になってんの？意味わかんないんだけど……。このライブの時で三十八？はぁ～？」「この人、この人*5に誑かされたい……。えっ、あっ、この前の恋をするならなんとかかんとかってこの人のことなの？その雑誌の編集者に百万円ボーナス与えろよ国」
この他にも色々言っていたらしいが、とりあえず割愛して。
まぁ、自分でも驚くぐらいの反応の仕方である。完全に刺さっている。V6というアイドルが二次元オタクの心にこれでもかというぐらい刺さっていた。
ライブの再生が終わる頃にはすっかりボンヤリしている私に、友人はニッコリ笑いながら宣う。
「とりあえず誰が一番気になった？」
私は心の中で白旗をあげ、無言でとある人物を指差した。
という事でまだまだ布教されてきます。
