V6布教(され)日記~自担という文化~
友人が渡してきたBlu-rayディスクの前で、私は正座をしていた。かれこれそうする事二十分も経っている。そろそろ背後にいた父親が私を心配してくる頃だ。頭がおかしくなったのではないかと心配しているのだろうと思うが、ただ単に覚悟を決めているだけである。
新たな沼に本格的に足を突っ込む覚悟を決めなければこのBlu-rayを見る事が出来ないのだ。
新たな沼を覗き込むときは沼の方もこちらを覗いているのだ。そのまま引きずり込まれたら熱が冷めるまで戻る事ができない。しかも相手は三次元アイドル。同じ次元に存在しているのである。そう恐ろしいことに存在しているのだ!恐ろしい話である。つまりもしかしたら街ですれ違うかもしれないし*1、実際にこの目で動いているところを見れてしまうかもしれないのだ!
これは平面での供給に慣れた人間には刺激が強すぎる。覚悟も決めずに沼に飛び込んだが最後、完全に殺されてしまうだろう。
……しかし、いい加減見なければ。このBlu-rayは友人が貸してくれたもの。返さなければならないのだ。
ゆっくり頷いてディスクをレコーダーに入れた。*2
ところでアイドル界隈?では自分の推しの事を担当と言うらしい。自担。いい響きだ。なんともいい文化である。『推し』というのは他人にも勧められるぐらい好きだという意味のある言葉であるが、『自担』というと好きでいることに責任を持つようでとてもいい。*3
ということは、私がもしV6沼に飛び込んだら*4自担が出来るということだろうか。前回のブログで友人に「この人が気になる」と指を指した人が自担になってしまうのだろうか……。
友人はBlu-rayを渡してくる時「君が気になってるって言ってた人のテレビ番組入ってるやつね」と渡してきた。果たしてこれを見て私は正気でいられるのだろうか。
新たな沼へ踏み込む恐怖と期待でぐだぐだ書いてしまったが、とにかく再生ボタンを押す。もう後には戻れないし引けないのだ。もうV6を知る前の自分には戻れない。*5
ということで、やたらと姿勢よくテレビの画面を食い入るように見る。再生されたのは『あさイチ』だった。正直な話をすると一度も見た事がない。というか、井ノ原さんが朝の番組のMCをしていたのをここ最近知った。*6
あさイチのそれも森田くんの回だ。*7お互いのリラックスした感じや真面目な話、それから二人で笑っている顔を見ていたらなんだかこみ上げてきた。
私は静かにBlu-rayを見ながらも今頃仕事中であろう友人に*8LINEを送った。
『私の自担を井ノ原さんにしようと思うんだけど、これから具体的にどうしたらいい?』